気象予報士は、各種のデータをもとに天候を予測する仕事です。 気象庁から提供される各地の観測データや気象レーダー、アメダスなどの情報を分析し、天気、気温、湿度、降水確率などを予想します。
1.天気予報の現状
私たちの社会は高度情報化し、生活環境も大きく変わってきた。気象情報に対するニーズもそれに伴い変化し、より便利な生活を望み、ほしい時に、ほしい所の気象情報を入手したいと言う要望が強くなってきた。
一方、気象技術の発展により、こうしたニーズにこたえられる状況になりつつある。近年、今日・明日・あさっての短期予報の制度が著しく向上しのに続いて、数週間先までの天気予報も精度向上を目指して各機関技術開発を進めている。
2.規制緩和の流れによる法律制定
上記の現状をふまえ、気象庁では気象審議会に対して、平成3年8月8日、社会の「高度情報化に適合する気象サービスのあり方について」の諮問を行い、1年後の平成4年3月23日答申を受けた。
(1)これからの気象情報サービス・・・国民からの気象情報に寄せられる多様な要望に対し気象情報サービスを高度化するためには、その基礎として晴れ、雨等の天気に直接結びついたメソ(中規模)気象現象についての量的な予報技術を開発する必要がある。この予測データと各種関連情報を総合的に活用する事で、利用者の個別的な目的に応えるさまざまな付加価値情報ネットワーク等の活用を図り「ほしい時にほしい所気象情報」の提供を求める国民の要望に応えていく事が課題となる。
(2)官・民の役割分担による気象情報サービスの推進・・・気象庁は、防災気象情報および一般向けの天気予報の発表を担う。前述のメソスケール気象現象の量的な予測技術を開発し、分布図等画像情報(メッシュ分布図)も活用して、これらの情報の拡充するを図ることとする。一方民間気象事業者局地的な予測技術を開発し、メッシュ分布図の加工あるいは情報メディアを活用した情報提供を受け持ち、上記データを活用して国民の高度化・多様化する要望に応える事とする。なお、民間気象事業者を活用する事によるためには、混乱の防止・情報の質の確保が必要となる。このため、アメリカで実績のある技術検定制度を設ける事とする。
(3)防災情報に関する関係機関との連携・協力の強化・・・気象官署と防災関係機関の情報システムをオンラインで結ぶ事により、情報提供の迅速化、相互のデータの交換等の推進を図り、防災業務のいっそうの高度化をはかる。
上記の第18号答申の趣旨にしたがい、気象庁では気象業務法の一部改正のための法案を作成し、所要の手続きをへて第126回国会に提出し、平成5年5月成立、6月公布の運びとなった。
3.気象予報士制度の新設と指定試験機関の新設
対象地域を指定した局地的な天気予報を、民間気象事業者が不特定多数の国民に公表するに際して情報の質を確保するため、技術指定試験を実施しその合格者に対して気象予報士の資格を与え、気象予報を行う事業所に気象予報士の配置を義務づける。 気象庁長官は気象予報士試験を行わなければならないが、指定試験機関に委嘱する事ができる。(現在は(財)気象業務支援センターが指定試験機関)
気象予報士試験の難易度、合格率
2018年1月に実施された第49回試験では2,788人が受験しましたが、合格者は162人のみです。
合格率は受験者数に対して例年5%前後であり、試験制度の導入から20年近く経過した現在でも、国家資格であるにも関わらず資格取得者数は10,000人以下と少数です。
平成30年度 気象予報士試験の概要
試験日 | 年2回、8月と1月に実施。 第50回:平成29年8月26日(日) 第51回:平成30年1月27日(日) |
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試験地 | 北海道・宮城県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県 |
受験資格 | 受験資格の制限はありません。 |
試験内容 |
試験内容・試験は学科試験と実技試験があります。 試験の一部免除について・学科一般・専門のいずれか,または両方に合格された方については,申請により合格発表日から一年以内に行われる当該学科試験が免除されます。 |
試験科目 |
学科試験の科目1.予報業務に関する一般知識 実技試験の科目1.気象概況及びその変動の把握 |
合格率 | 5.8%(第49回) |
合格発表 | 第50回:平成30年10月 5日(金) 第51回:平成31年3月 8日(金) |
受験料 | 11,400円 |
詳細情報 | 財団法人 気象業務支援センター |
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