【知識】ホーミーについて

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ホーミーとは

一人の人が1つの声門から高さの異なる二つの音を同時に出す音楽で、まさに人間楽器だといわれています。モンゴルで生まれた技法であであり、世間では分類として音ではなく音楽として認識されています。

ホーミーの使用方法

遊牧民族の多いモンゴルでは、牛や山羊、ヤクダなどの家畜飼っています。その家畜を集めるためにホーミーを使ったり、母畜が仔畜に授乳をする際、嫌がることがあります。しかし、ホーミーを聞かすと自然と授乳をしてくれるようになそうです。

これらのことは、厳しい生活の中で生み出された生活の知恵であると言えます。

ホーミーの種類

ホーミーにはいくつか種類があるよ。 ツェージニー(胸の)・ホーミー、ゲデスニー(腹の)・ホーミー、ホーロイン(喉の)・ホーミー、オローリン(唇の)・ホーミー、ハムリーン(鼻の)・ホーミー、タグナイン(口蓋の)・ホーミー、ホービル(鼻腔の)・ホーミー、ハルヒラー(大きな音の)・ホーミーなどがあり、最近もう一種類、ホスモル(対になった)・ホーミーといって、ホーミーを奏しながら歌詞も歌うという方法などがあるそうです。 家畜に対して、牛には「オーブー、オーブー」、ラクダには「ホースー」、羊には「トイグ、トイグ」、山羊には「チャイグ、チャイグ」という掛け声を繰り返し聞かせる。

<ホーミーの原理>

<口腔の説明>

ホーミーをおこなう際、まずは、口腔について説明します。言語音声のいわゆる調音(種々の音韻としての発声を作るための働き)に、主要な役割を果たす口腔があります。

口腔の上部は、図1に示すように口蓋で限られ、そのうちの前部を硬口蓋、後部を軟口蓋と呼んでいます。 軟口蓋が上下運動することによって、鼻腔への気流の通路が開閉され、鼻音と非鼻音の違いが生ずる。

下顎の上に付着している舌は、大きな筋肉の塊からなっていおり、自由に形を変え、あるいは運動させることができ、下顎の上下運動と軟口蓋の上下運動で形や容積を変化させ、母音を始め多くの音韻の調音に主要な役割を果たす。 また、唇は口腔から外界への通路の形をいろいろに変化させ、音波の放射特性を変化させると共に種々の音韻の生成にも役立っています。

いろいろの音韻のそれぞれ特有な音を発生する場所を一般に調音点といっており、その部位から、唇音、歯茎音、舌音、口蓋音などの区別が与えられています。 又、調音の仕方により、半母音、摩擦音、破擦音、破裂音などの区別がつけられます。

<発声時の声道の形>

日本語の母音に関して、|a|,|i|,|u|,|e|,|o|などがある。この5母音について、声道の形は複雑になっているが、近似的には図2で示しているような特徴を示すことができます。 図2の説明として、アは大きな口腔と小さな喉頭、大きな開口面積と狭い収縮で、オは、幾分円みを帯びた大きな口腔と、アと同じような咽頭、およびどちらかといえば広めの開口部と収縮部で、又、イとエは口腔部と咽頭部の長さや面積などの割合、すなわち、イはエに比べて狭く短い口腔部と、広く長い咽頭部などでそれぞれ特徴づけられます。

<音程(musical interval)の周波数>

ホーミーをだす上で、重要とされるのが音程です。ホーミーが音楽と認識されている訳として、音楽の周波数を2つ同時に出す(和音)ことによって、ホーミー独特の音が聞こえるようになります。人間の耳は音楽の周波数を比率で聞いている。図3は、1オクターブ分の音程の周波数を書いたものであります。 図3 1オクターブ分の音程 <なぜホーミーの音がでるのか> ホーミーは2つの音(声)を同時にだす技法であると最初に説明しました。

ホーミーでは基本のだす音(声)以外にもう1つの音を強制的にださなければならなりません。そのため、口腔で工夫が必要となる。もう1つの音について考えてみます。 基本の出す音として、設定する周波数は440.00Hzとします。

これは図3中の音、ラの音に相当する。その音の倍音が声帯によって作り出されます。しかし、1つだけ作り出されるのではなく、いくつもの周波数の倍音が生成されてしまう。人間の最小可聴限の周波数特性は3~4Hz付近までしか聞けません。よって生成される倍音は、440.00~3080.00Hzまでです。

そこで、倍音の中の1つを強調させるのがホーミーの技法です。重要視する点は口腔の容積と形です。その間、形については図2で説明したとおり、母音によって形を変えて声をだすことです。口腔の容積については、舌の形と軟口蓋の上下運動が深く関係してきます。倍音の中の音の1つを強調させるため、舌を軟口蓋につけて口の中を閉じます。そこで、声をだし、倍音の1つを強調させます。

要は、口の中にもう1つ声帯を作ってしい、共鳴させるというわけです。 ホーミー実験 ホーミーのやり方 ホーミーの練習方法はいろいろありますが、ここでは私の練習している方法を説明します。 まず、口の形を少しあけた状態で、ウの声をだせる状態にします。そして、舌で口内を軽く塞ぐようにしたままで、ルと声をだす。そこから口唇だけを動かして、音の変化をウーイーと繰り返して強調します。

このやり方で、私は声をだしたのが、表1の音源です。まず、純粋にイーとウーを発音し、そのあとウーイーと変化をつけて声をだします。 表1 ホーミーの発声 発音 ファイル イー wav音源[107k] ウー wav音源[188k] ウーイー wav音源[215k] 実験を行う際、多くの練習を行った。一人で練習をしている中、本当に倍音がでているかわからず、苦労をしました。しかし、練習を行っている際、少しずつ高い音がでていることに気が付き、これが倍音なのではと気がつき始めました。 注意 する点として、文献で調べている中、モンゴルではホーミーの演奏者が少なくなっているらしいです。

これは、ホーミーを練習する際、間違った練習方法をおこなうと早死にや練習するなどの噂があるからです。ホーミーを発声すると、心肺に多くの負担がかかるであるといわれています。実際、私も長時間練習をしていると心拍数があがり、大変疲れました。そのため、長時間の練習は避けるようにしなければならないと思います。

考察 今回の実験では、録音機器を使っていないので、雑音が多く入っている。しかし、一番自信があるのが、変化をつけたウーイーの発音です。

ウーからイーにかけて変化するときに倍音の高い音が聞こえていると思われます。今回は、実験でホーミーを出来るようにし録音するという形をとったが、次に実験する際は音からパワースペクトルを読み取り、フーリエ解析をおこない、どの周波数の音が大きく聞こえているのか調べてみたいと思います。

<参考文献とホームページ>

図解 モンゴルの遊牧民 著者:蓮見治雄・杉山晃造 発行所:株式会社 新人物往来社 モンゴル入門 編者:日本・モンゴル友好協会 発行所:株式会社 三省堂 聴覚と音声 編著者 電子通信学会 発行者 傍島 忠義 発行所 社団法人 電子通信学会 動物の音声の世界 著者:Y・ルロワ 訳者:稲垣新 番場州一 発行所:共立出版株式会社 ホーミー・ワールド