大学の入学資格
大学に入学する資格を有する者は、
高等学校卒業者、中等教育学校卒業者、通常の課程による十二年の学校教育を修了した者
(高専において3年間の課程を終了した者等がこれに該当する)
であるが、それ以外に学校教育法第56条には、
文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者
も大学に入学することができる、と規定している。
では、高卒者と同等の学力があると認められた者とは、どのような者であるのだろうか?
学校教育法施行規則第69条によると、大学入学に関し、高等学校卒業者と同等に扱う者に
ついて規定しているため、それを参照してみる。
高校卒業者と同等の学力があると認められる者
学校教育法施行規則第69条によると、大学入学に関し、高等学校卒業者と同等に扱う者は、
次の各号のうち1つ以上に該当する者である。
1.外国において、12年の学校教育を受けた者
この規定は、外国人留学生や外国で12年間の教育を受けた者が、
日本の大学に進学できるよう規定されたものである。
そのため、外国において、長期間教育を受けていることが条件の1つとなっており、
日本国内において、外国の教育を12年間受けた場合には、
この規定によって大学入学資格を取得することはできない。
なお、
日本語検定2級以上に合格していること、
中国引揚者の子女の場合には、大学入学のための準備教育を終了していること
などが入学要件となっている場合もあるようである。
2.在外教育施設の修了者
この規定は、文部科学省が認定した外国にある日本人向け高等学校(=在外教育施設)を
終了した者に対し、大学入学資格を与えるという規定である。
なお、在外教育施設は、現在(2004年8月)のところ、
「渋谷幕張シンガポール校、スイス公文学園、トゥレーヌ甲南学園、東海大学付属デンマーク校、
立教英国学院、サウスクイーンズランドアカデミー、英国暁星国際学園、ドイツ桐蔭学園、
テネシー明治学院、アルザス成城学園、帝京ロンドン学園、駿台アイルランド国際学校、
慶応義塾ニューヨーク学園の各高等部」
となっている。
詳細については文部科学省のHP及び各学校へお尋ねください。
3.文部科学大臣の指定した者
文部科学大臣は、次のような者を大学入学資格を有する者として指定している。
・戦前の旧制学校を卒業・終了した者
・国際的に認められている大学入学資格である国際バカロレア資格等を有する者
なお、バカロレア資格等は日本の高等学校卒業程度認定試験(旧:大検)合格に相当するもの
・文部科学大臣が指定する専修学校(高校と同様の課程を有する専修学校)を卒業した者
4.高等学校卒業程度認定試験(旧:大検)合格者
文部科学省が年2回実施する高等学校卒業程度認定試験(旧:大検)に合格した者は、
高校卒業者と同等の学力があると認められる。
5.高校2年生の大学受験
この規定は、技術立国を目指す日本としては理科系統の学問に特に優れた者を早期に発掘し、
優秀な人材に育て上げるため、1988年4月に導入された飛び級制度のことである。
現在、千葉大学の理系学部など一部の大学で実施されており、高校2年生や
高等学校卒業程度認定試験(旧:大検)合格者などがこの制度を利用して受験している。
6.大学において高卒者と同等の学力があると認定された者
この規定は、各大学が18歳以上(3月31日の時点で18歳になる者を含む)の
入学志願者の学力を個別に調査検討し、高卒者と同等以上の学力があると
大学当局が認定した者について入学(受験)を認める、という規定である。
現在、日本にある外国人学校卒業者などは、この規定を利用して日本の大学に
進学している。
なお、
法の精神からいえば本来は入学志願者を個別に審査すべきであるが、
多くの大学は個別審査をしておらず、外国人学校などの教育機関が
日本の高校と同等の教育を行っている(と大学当局が認識した)場合に
入学を認めるケースが多いようである。
それゆえ入学志願者を個別に評価することはめったに行なわれず、
卒業学校(卒業機関)名のみで入学資格の有無が判断されることが多いようだ。
私の知る限りにおいて、
唯一しっかりと個別に審査している大学は、
東京都立大学が実施するチャレンジ入試のみである。
それゆえ、何らの学校も卒業していない18歳以上の不登校経験者は、
この規定によって、大学に進学することは現在のところ非常に難しいといえよう。
注意:
この6号規定は、本来大学に入学する資格を有さない者に対して、
特別に大学当局が入学を認めるものである。
この規定があるからといって、当然に大学に入学できるわけではなく、
大学に入学できないことが、一般的である。
この規定によって大学に入学できると勘違いせず、不登校の人は、
高校卒業や高等学校卒業程度認定試験(旧:大検)合格などで大学入学資格を取得
することをお勧めする。
(理由は、大学当局が大学入学資格の有無を判断してくれないから・・)
<参考法令>
学校教育法第56条【大学に入学できる者】
大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者
若しくは通常の課程による12年の学校教育を修了した者
(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)
又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に該当する大学は、文部科学大臣の定める
ところにより、高等学校に文部科学大臣の定める年数以上在学した者
(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、
当該大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認めるものを、
当該大学に入学させることができる。
一 当該分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていること。
二 当該分野における特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい
教育研究上の実績及び指導体制を有すること。
学校教育法施行規則第69条【高等学校卒業者と同等者】
学校教育法第56条第1項の規定により、大学入学に関し、高等学校を卒業した者と
同等以上の学力があると認められる者は、次の各号の一に該当する者とする。
一 外国において、学校教育における十二年の課程を修了した者又はこれに準ずる者で
文部科学大臣の指定したもの
二 文部科学大臣が高等学校の課程と同等の課程を有するものとして認定した
在外教育施設の当該課程を修了した者
三 文部科学大臣の指定した者
四 大学入学資格検定規程(昭和二十六年文部省令第十三号)により文部科学大臣の
行う大学入学資格検定に合格した者
五 学校教育法第五十六条第二項の規定により大学に入学した者であつて、
当該者をその後に入学させる大学において、大学における教育を受けるに
ふさわしい学力があると認めたもの
六 その他大学において、相当の年齢に達し、高等学校を卒業した者と同等以上の
学力があると認めた者